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日中ツーリズムサミット2021レポート|ターゲットを呼び込むNewデジタル

新たな「地域共創」の場づくりを目指す一般社団法⼈⽇中ツーリズムビジネス協会(東京都新宿区 代表理事 王璇、以下CJTC)は、オフラインとオンラインのハイブリッド形式で12月21日(火)に第4回目となる『日中ツーリズムサミット2021』を開催しました。フォーラムの部の登壇者に、観光カリスマ山田桂一郎氏やあ村山慶輔氏等計20名の専門家・業界有識者が豪華集結するほか、当日表彰を行う「地域Challenge大賞」※「地域魅力大賞」※の候補に、全国から35地域企業・団体の参加も決まりました。

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【日本ツーリズムサミット2021・オンデマンド動画視聴について】
【視聴期限】 2022年1月31日(月)まで
【参加費】無料
<申込方法>━━━━━━━━━━━━
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『ターゲットを呼び込むNewデジタル〜ファンがいるのか?逆境から学ぶイン・アウトバウンド戦略の「最前線」〜』をテーマに、パネルディスカッションが行われ、モデレーターの王氏を始め、以下5名が登壇しました。

パネルセッション2

・インタセクト・コミュニケーションズ株式会社 営業統括コンサルティング本部部長 道明翔太氏
・北海道富良野市 経済部商工観光課長 本田寛康氏
・インタセクト・コミュニケーションズ株式会社 広告事業本部WEB事業推進部部長 片倉一志氏
・京都中央信用金庫 証券国際部国際営業課 課長 山下洋平氏
モデレーター
・ENtrance株式会社 代表取締役 王璇氏

◆富良野市での取り組み

富良野市商工観光課長の本田氏、インタセクト・コミュニケーションズの道明氏より、富良野市での取り組みについて、ご紹介いただきました。

 コロナ禍前の富良野市のインバウンド

富良野・美瑛エリアといえば、ラベンダー畑や青い池や丘陵地帯が有名で、このような観光素材を売りに、エリアで連携してプロモーションをしていました。

その結果、コロナ禍前には年間60万泊の利用があり、そのうち13~14万泊が富良野市のインバウンドでした。このうち1/3が中国からのお客様で、インバウンドによる経済効果が大きい状態といえます。

富良野市のインバウンド

その反面、課題も浮き彫りになり、利用客の時期が集中するなどによりサービスが行き渡らない、顧客満足度が上がらないといった課題がありました。また、農地に立ち入るなど農業関係者にも迷惑をかけている状態でした。

特に中国のお客様を迎えるにあたっての課題として、以下のような課題がありました。

・情報発信(中国国内から閲覧できない、Googleが利用できない)
・二次交通の不便さ、わかりにくさ(何時に着くかわからない、急な変更に対応できない)
・決済方法(中国で主流の電子決済への対応)

これらの課題解決のために、2019年から中国のテンセント社と連携協定を結び、研修に招待されるなどの交流を経て、WeChatの導入を進めていきました。

課題解決のためのDX化

その中で、DX化するために時間を掛けずに一気に進めること。そして既存のプラットフォームに乗り、安定して運用させること。また日本人も利用できる環境を整えるためのソリューションを持つ事業者と連携することの重要と考えていました。

 スマホ1つで観光できるスマートシティ構想

富良野市が行うWeChatを使ったデジタルマーケティング事業に入札したことが、富良野市とインタセクト・コミュニケーションズの関わりのきっかけになりました。

ただし始めようと思った矢先にコロナ禍に入り、WeChatを軸にした施策から、日本人やその他海外観光客も含めた多国籍で対応できるようなサービスに方針を変えていきました。それが「スマートシティ構想」。

スマートシティ構想

中国人向けのサービスではあるものの、日本人もその他の国籍の方でも利用できるようなシステムになっており、以下のシステムを導入および対象を拡大させて、これまでの課題を解決させようとしています。

・マルチQR決済システム(決済方法の課題解決)
・WeChat公式アカウント運営(月4回投稿)
・WeChatミニプログラムで情報発信(ホームページが閲覧できないを解決)
・他のミニプログラムへの派生(AI技術を利用した商品認識プログラムなど)
・デジタル植物図鑑
・バス時刻案内(二次交通のネックを解決、料金や位置情報なども掲載)
・スタンプラリー(行動履歴のデータ集計・分析)
・アンケート機能(記入への障壁を下げ、データをより取りやすく)
・テーブルオーダー(テーブルにあるQRコードから注文)
・チケット販売(事前決済で混雑解消と業務効率化)

WeChatのミニプログラムの中には、「メイドインフラノカタログ」があり、AIカメラの技術が使われています。日本語表記されている商品でも、バーコードをスキャンすることで言語を変換できるため、日本人のお客様にも配慮したものになっています。

セッション2

◆地域金融機関が取り組むイン&アウトバウンド支援事業

京都中央信用金庫の山下氏と、インタセクト・コミュニケーションズの片倉氏より地域金融機関が取り組むイン&アウトバウンド支援事業について、ご紹介いただきました。

 信用金庫が支援事業に取り組んだ経緯

信用金庫としての事業上、地域の企業を支援していく必要があるなかで、本業を支える支援事業として、海外に向けた販路拡大や旅行先として足を運んでもらうインバウンドに積極的に取り組んでいました。

本取り組みについて

京都は、歴史的な背景から食文化や伝統的な文化、産業が根付いており、商品や技術が海外に進出し、インバウンドも伸びて、象徴のひとつと言えるほど活況な状況にありました。

しかしコロナ禍により、他の地域同様に影響を受け、サービスや観光のみならず製造業でも大きな痛手を受けていました。売上として5~8割落ち込んでいて、インバウンドに紐づく製造業が多かったということです。

この状況を打開するために始めた支援が「越境EC」になります。元々4~5年前から取り組んでいたものの、プラットフォーマーの意向もあり、なかなか掲載まで至りませんでした。

そこで今回は自分たちで専用のECを作り、自分たちで中小企業の商品を売り出していく形で取り組んでいきます。

1社ずつではラインナップは少なくとも、集めることで1つの地域ブランドとして売り出し、インバウンド復活時には、中小企業のお店を目的に来てもらうことを目指して、取り組んでいます。

しかし、信用金庫がECを持って販売をすることは、法律上原則はできないため、法律の範囲内でどうにかできないかというところで、インタセクト・コミュニケーションズと手を組むことになりました。

 信用金庫が挑む越境ECはどうして実現したのか

どのようにして実現させたか

京都中央信用金庫は、情報発信などの資金拠出と出品募集を担い、販売ができない分、ビジネスマッチング形式を取って、取引を成立をさせています。

一方で、インタセクト・コミュニケーションズでは、BtoCに関わる部分として特に発信すること、物流や発送支援、コールセンターといった運用から、販売責任者としてシッパー対応など多岐にわたる支援により、実現させています。

越境ECは、大手モールへの出店が一般的ですが、今回の取り組みでは、WeChat上にアンテナショップを作成し、販売のみならず、消費者とのタッチポイント作りや独自発信を行えるようにしています。

そこで重要視しているのが、「どのように情報を消費者に届けるか」であり、これはインバウンドにも共通して言えることである。

2021年5月31日にオープンし、半年で5,000点以上の商品を販売、出品社数は114社となり、モール型アンテナショップとして展開しています。

また、プラットフォームを生かしたプロモーション展開として、WeChatに限らずRED、bilibili、Weiboでも発信し、それぞれに合わせたインフルエンサーを起用して、京都の「物」だけではなく「事」の発信を行っています。

インバウンドでも、「モノ消費からコト消費」という言葉があるように、越境ECからインバウンド、アウトバウンドからインバウンドに派生させています。

この取り組みを通じて、「越境EC=売上重視」ではなく、情報発信により、「足を向けさせる」ことができるということ。そして実績を積むことで、BtoB取引に発展し、国内メディアでも多く発信されるようになりました。

本取り組みを通じて得られたこと

これまで「旅あと」と位置づけられることもあった越境ECですが、再び「旅まえ」に戻す発信を出来るのが、この越境ECであり、アウトバウンドであると気付き、今後も積極的に進めていきたいと考えておられます。

◆なぜこれほど大きな意思決定を行うことができたのか

富良野市

インタセクト・コミュニケーションズ 道明氏
富良野市の場合は、課題克服のために行うことが決定していたので、その先にある地域事業者に対して、協力を得られるかがポイントでした。

デジタルである以上、運用フェーズで想像以上にアナログが根付いていて、より簡単に使ってもらえるように再設計するために、講習を重ねたり、そもそも「富良野を良くしたい」「味方である」ことを理解してもらうことが、重要であると感じました。

東京の会社が、突然富良野に行って提案しても難しいところがあるので、関係構築が大事であると思います。

山下氏

京都中央信用金庫 山下氏
地域事業者の本業支援を積極的に行うことと、失敗を恐れないことを常々言われてきていた。「企業のために」という想いで、上層部も含め全体が応援してくれたのが、大きかった。

富良野市経済部商工観光課長 本田氏
観光地域としては、目的や課題は共有可能でも、アナログな方が多い中で実現させるのは、大変なことである。

そういった状況を理解してくれて、伴走者のように付き添ってくれる事業者がいてくれたことが良かったところだと思います。

◆当初の目標と狙いをどのくらい達成できていて、これから目指すものは何か

片倉氏

インタセクト・コミュニケーションズ 片倉氏
出品いただいている皆様に、どう還元していくかが重要である。そのためにもひとつの価値観にとらわれないことが大事であり、目標だと思っています。

地域経済に対して、支援を通じてお金が落ちていくように。そしてインバウンドが復活した際には、その相乗効果が生まれるような仕組みづくりを目指していきたい。

道明氏

インタセクト・コミュニケーションズ 道明氏
達成率で30~40%程度。3カ年計画の2年目ですが、中国ではWeChatPayがあればどこでも決済できるが、そこまでカバーできていないと、スマートシティで便利な観光とは呼べないと考えています。

その3年目での達成を目指し、決済に限らずその他のサービスも、地域事業者・自治体と連携して、エリア全体に伸ばすまでは、ゴールではないと思っています。

◆WeChatミニアプリの開発は、企画から実装までどのくらい時間がかかったのか。WeChat側の承認までの時間

インタセクト・コミュニケーションズ 片倉氏
開発については、自社で持つテンプレートに当てはめていくことで、約2ヶ月で実装できます。承認についても、テンセント社のレギュレーションに適していれば、審査落ちすることはありません。

越境ECを例にすると、立ち上げまで3~4ヶ月の時間を見込んでほしいと話しています。

王氏

ENtrance株式会社 王氏
地域にカスタムして、新しい開発をしていく取り組み大事ですが、このセッションで共有したのは、すでに存在するシステムや技術を利用することで、短期間で課題を解決し、仕組みを作ることができるということです。

そして課題がクリアになれば、人を呼び込むことやリピーターの構築、お客様が来れなくても買い物が出来るといった仕組みづくりの参考になる事例のご紹介でした。

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