専門家インタビュー – China-Japan Tourism-Business Consortium
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【逆境こそ成長するチャンスへ! vol.4】 DiDiモビリティジャパン株式会社 事業開発本部本部長 魏嘉宏氏インタビュー


こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。

日中ビジネスに関わる最前線専門家インタビュー特集のVol.4の今回は、タクシー配車サービスを提供しているDiDiモビリティジャパン株式会社の事業開発本部本部長 魏嘉宏 (Eric Wei)氏に新型コロナウイルスへの対策今こそ準備しておくべきことについてインタビューしました。

▲DiDiで今までにない移動体験を

 

【ゲストプロフィール紹介】

魏 嘉宏 (Eric Wei)氏

DiDiモビリティジャパン株式会社事業開発本部本部長/DiDi Chuxing 日本プロダクト最高責任者

中国DiDi Chuxing社と日本ソフトバンク社の合弁会社であるDiDiモビリティジャパンの広告事業、戦略パートナーシップ、事業開発および顧客サービス部門を統括。アマゾンとグーグルで13年間を経て、ビジネス事業開発、サプライチェーン管理、プロダクトマネージメント、アジア太平洋地域各国での新規事業立ち上げとマーケティングの経験を行かし、日本でのDiDiビジネスの事業展開をゼロから急成長させている。

CJTC編集室(以下、CJTC):コロナウィルスの感染拡大の中、貴社にはどんな影響や変化を受けていますか。それに応じて、どのような対策、そして、パートナー企業への支援策を行っていますか。

魏 嘉宏氏(以下、魏 ):DiDiモビリティジャパンでは指定感染症「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の感染拡大を防ぐため、全提携タクシー事業者・個人ドライバーにマスク約10万枚を配布するなどの対策を行っています。「DiDi」アプリのユーザー、タクシー乗務員、関係者の皆様の健康と安全のため、さらなる対策強化を行うべく、乗務員とお客様の接触を避けられるキャッシュレス決済を推進し、より多くのユーザーの皆様にキャッシュレスをご利用いただくため、キャッシュレスとなるアプリ決済時に割引料金となるクーポン配布の実施もしております。 不要不急の外出を避けるよう呼びかけられている中、やむを得ずご移動が必要な場合に、「DiDiTV」搭載のタクシー車内にマスク着用など注意喚起のビデオコンテンツを放送し、可能な限り乗務員と乗客にとって安全・安心にご利用いただきたいと考えています。

CJTC:DiDiフードは4月より大阪にて実証実験していると聞いております。これからの事業展開はどんなイメージですか。また注力していく領域や、連携していきたいパートナー企業あれば、教えいただきたいです。

魏 :まずは昨今のコロナウィルスの影響を注視しながら、適切な時期を選んで正式にサービスを開始します。開始する際は、プレスリリース、WebサイトやDiDi Foodアプリ等でお知らせ致します。

現在注力していることは提携レストランの数、配達員のホスピタリティの向上です。弊社には、お届けの早さにつながる効率的なマッチング技術等で優位性があります。他にも、配達員への補償の手厚さや、配達業務中の事故を未然に防ぐための交通安全啓蒙活動にも力をいれています。

▲DiDi Foodの配達パートナー向け補償制度

 

CJTC:日中の間でビジネスを行う企業にとって、今準備しておくべきこと、あるいは、日本でも活かせる中国のコロナ対策やノウハウなどございますか。

魏 :コロナウイルスの世界的流行を受け、東京オリンピック延期の決定もあり、様々なキャンペーンやマーケティングイベントを新型コロナウイルス収束までの間見合わせざるを得ない状況です。一方で、中国では経済回復が顕著に進んでおり、中国本部の最新データでは、オンライン配車予約はすでに6割以上回復しています。日本も経済回復できる日が必ずやってきます。それまでに、ユーザーにとってより使い勝手の良いサービスを提供出来るよう、日本企業の皆様との業務提携などでプロダクト共同開発を進め、これまでにないデジタルトランスフォーメーションの追い風を乗ってキャッシュレス推進や、オフラインでしか行われていなかった事業に、新規オンライン事業を展開する好機を逃さないように取り組んで参りたいと考えています。


【逆境こそ成長するチャンスへ! vol.3】 ENtrance代表取締役王璇氏インタビュー


こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。

緊急事態宣言が全国に拡大され、政府は、大型連休に向け、旅行や帰省など不要不急の移動を控えるよう呼びかけている。さまざまな生き残り策を考えてきた観光事業者も、もはや、ほとんど打つ手がなくなりました。一方で中国国内の旅行市場は10%以上回復ができ、少しずつ蘇っています。

日中ビジネスに関わる最前線専門家インタビュー特集の第三回として、今回はENtrance株式会社の代表取締役王璇氏に「日本でも活かせる中国のコロナ対策」および「コロナ収束後の日本旅行業界の変化」についてインタビューしました。

【ゲストプロフィール紹介】

ENtrance株式会社 代表取締役王璇氏

王璇氏は中国語通訳案内士。岩手県雫石町観光大使。2016年よりインバウンド戦略コンサルタントとして、行政や企業の戦略策定に携わる。2019年にENtrance株式会社を設立。中国語圏インバウンド旅行者向け、学びと交流が溢れる日本テーマ型旅行予約サービスを提供している。

CJTC編集室(以下、CJTC):コロナウィルスの影響を受けて、貴社にはどんな影響や変化を受けていますか。それに応じて、どのような対策やパートーナー企業への支援を行っていますか。

王璇氏(以下、王):ENtranceは、数次ビザ持ちの中国人リピーター旅行者をターゲットに、テーマ型観光サービスを提供しています。昨年創立したばかりなので、経済損失という意味ではその影響は限定的です。

それに応じる対策としては、1月末から2月中旬までは、FITのお客さんの訪日旅行のサポートや、中国へのマスク寄付、そして日本側の企業や自治体への中国関連の正しい情報共有に努めました。2月後半以降は、中国市場状況を日々ウォッチして、中国消費者向けのアンケート調査や、彼らへの日本観光関連の情報配信に注力しています。最近では、自社媒体を使って日本の観光事業者の情報の無料配信支援の連携も取っています。

▲ENtrance株式会社のビジョン

 

CJTC:中国の旅行業界は、日本より早く経済回復していると思いますが、観光業界全体はどんな状況でしょうか。「アフタコロナ」でどんな新しい兆しができているのでしょうか

王:飲食業は急速に回復している印象ですが、宿泊、交通、旅行市場の動きはまだ鈍い状況です。多くの旅行会社は、ここ1ヶ月、販促キャンペーンを行っていますが、四川省、雲南省などの「安心できる」辺境地の宿泊商品に一辺倒な状況です。

また、GWの最新トレンド予測では、昨年同期比80%減の発表があり、ほとんどの人は「同県観光(県内の近場で観光すること)」を選んでいます。ほとんどの大手旅行会社は、今年の事業戦略は国内旅行市場に注力すると意思決定しています。同じトレンドは、収束後、日本旅行市場にも起きるかと思います。

 

CJTC:日中の間でビジネスを行う企業が今準備しておくべきこと、あるいは、日本でも活かせる中国のコロナ対策やノウハウなどございませんか

王:これからも中国のカスタマーを相手にビジネスを継続する企業であれば、半年から1年間ほどの寒冬と向き合うことになります。そのため、いま準備した方がいいことは、2つあります。コロナの影響で、デジタル化が急速に進んでいるので、コンテンツ配信やデジタル面での強化をすべきだと思います。もう一つは、ECとアウトバウンドです。輸出できるものがないと思う宿泊や娯楽産業に携わるの事業者の方も、切り口を変えて一度商品開発に取り組んでみてもよいのではと思います。


【逆境こそ成長するチャンスへ! vol.1】 Trip.comグループ日本代表蘇俊達氏インタビュー


 

こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。

2020年は念願のオリピックイヤーでしたが、コロナウィルスの影響により、3月24日には東京オリンピックの延期が正式に決まりました。

また、4月7日に日本政府が緊急実態宣言を出したことで、日本観光業界のみならず世界経済への打撃は一層深刻です。一方で、中国は4月8日、武漢の封鎖解除により「ポスト・コロナ」経済復興の第一歩の兆しを見せました。

厳しい状況が続く今だからこそ、日中観光業界・インバウンドアウトバウンドの真意が問われており「ピンチ」を「チャンス」に変える分岐点でもあります。特殊な時期を乗り越える対策の参考に日中の間でビジネスを行なっている経営者のインタビュー記事をこれから定期的に発信していきたいと存じます。

第一回としてはTrip.comグループ日本代表の蘇俊達氏に、中国の新型コロナウイルス対策やコロナ収束後への予想などについてお伺いしました。

 

【ゲストプロフィール紹介】

Trip.comグループ日本代表蘇俊達氏

蘇俊達氏は2017年1月にCtrip International Travel Japanを設立。同代表取締役に就任後、同年10月より日本のグループ代表に就任。現在Trip.comグループ日本の拠点は8ヶ所あり、新たな海外ブランド「Trip.com」も急速に拡大中。

 

CJTC編集室(以下、CJTC):Trip.comグループは、観光事業者に向けどのような支援策を提供していますか。

蘇俊達氏(以下、蘇):Trip.comグループは、お客様の安全を最優先に、新型コロナウイルス感染の発生直後から「特別無料キャンセル補償」という特別なキャンセルポリシーをご案内しています。また、世界各国の入国規制等、旅行の計画に役立つ情報も提供しています。
さらに、日本を含む世界10か国に100万枚のマスクの寄贈も行っています。事態が収束すれば、訪日中国人は一気に増えます。その際にはいち早く日本各地の魅力を打ち出すキャンペーンを展開していきます。

 

 

 

          ▲Trip.com、新型コロナウイルスから身を守るための海外旅行ガイドをローンチ

 

CJTC:日本でも活かせる中国の新型コロナウイルス対策やノウハウはありますか。

蘇:中国のホテルでの対応事例があります。中国のとあるホテルチェーンでは体温検査機導入のほか、ホテル館内の定期的な消毒や、客室内にマスクや消毒液を準備してお客さまに提供しています。食事にも細心の注意を払い、生ものの提供は控え、特に肉類はしっかり火を通し、皿類は二重消毒して使うなどの対策を行なっています。さらに、体調に異常のある方には、すぐに医療施設や関連施設に連絡するなどの連携をとっています。
また、中国の4ツ星、5ツ星のホテルでは、ロボットの導入が進んでいます。ルームサービスなどスタッフの代わりにロボットが部屋まで運ぶので、人と人の接触がなく、安心感があります。Ctripと提携する会社ではこうしたロボットをレンタルするサービスも行なっています。

 

CJTC:ポストコロナの時代において、中国の訪日旅行者に求められることや期待していることは何かありますか。

蘇:現在、新型コロナウイルス感染症の収束のめどが見えないところもありますが、日本の状況が収束すれば、訪日する中国人は一気に増えると思います。収束後にはいち早く日本各地の魅力を打ち出すキャンペーンを展開したいと考えています。
弊社は2003年にSARSの感染が拡大したときにも適切に対応し、収束に備えました。収束後はいち早く行動に移すことで、爆発的に業績を伸ばし、その年の12月にはNASDAQへの上場を果たしました。その経験から、今回の困難を乗り越えれば、いっそう大きな成長が期待できると信じています。収束すれば、必ず来日を希望するお客さまは急増するので、いまの時期を活用して、しっかり準備しておくことが必要だと考えています。

 

 


【逆境こそ成長するチャンスへ! vol.2】 ネットスターズ代表取締役社長李剛氏インタビュー


こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。

2017年に米国で実施されたある研究では、ニューヨーク市で流通する紙幣に100種類以上の細菌が付着していることが判明しました。ポストコロナの時代に、現金に基づいた社会は持続可能なのだろうか。今回の危機で、日本社会の支払い方法に大きな変化が起こるかもしれません。

日中ビジネスに関わる最前線専門家インタビュー特集の第二回として、株式会社ネットスターズ代表取締役社長 李剛氏にコロナ感染拡大により、日本キャッシュレス決済の現状及び今こそ準備しておくべきことについてインタビューしました。

 

【ゲストプロフィール紹介】

株式会社ネットスターズ代表取締役社長李剛氏

李剛氏は2009年にネットスターズを設立(現在資本金25億円)。国際通信ゲートウェイ事業から、決済サービスへと事業を拡大し、2015年に「StarPay」開発・提供開始。ボーダーレスにキャッシュレス化を推進するプラットフォームとして国内外から注目を集めている。

 

CJTC編集室(以下、CJTC):新型コロナウィルスの影響を受けて、貴社の事業はいまどんな影響や変化を受けていますか。また、それに応じて、どのように対策を取っていますか。

李剛氏(以下、李):コロナウィルス流行以前から、特にQRコード決済は各ブランドが積極的にキャンペーンを行っていることもあって、中国に比べ急速に普及しつつありました。コロナウィルス流行後は、日本で現金のやり取りに対する懸念が高まり、日本国内のキャッシュレス決済にとって、皮肉にもコロナウィルスはある意味普及の追い風になっている部分もあります。現状を受けての対策としては、当社は社員のウィルス感染でサービス運営に支障がでないようにすることを一番に考えて、出張制限や在宅勤務などを取り入れました。また、今後需要の変化はあるかもしれませんが、国内·インバウンド両方の決済の普及に変わらず取り組んでいます。

▲株式会社ネットスターズが提供するマルチ決済ゲートウェイ「StarPay」

 

CJTC:コロナ収束を見据えて、日中の間でビジネスを行う企業が今準備しておくべきこと、あるいは日本でも活かせる中国のコロナ対策やノウハウなどございませんか。 

李:コロナ収束後も、経済環境への大きな影響は避けられないと考えています。そして、人々の行動も変化するでしょう。当社が日本で初めて2015年にWeChatPayを導入したとき、日本でQRコード決済を知っている人はほぼゼロでした。しかし、そこから急速に普及し、いまでは多くの人がスマフォを通じて買い物をするようになりました。日中間のビジネスは常にギャップを埋めていくことが必要です。収束後は新たなギャップが発生すると思いますが、ギャップを発見しビジネスに活かすことが必要になっていくのではと思います。

中国では、日本より一歩早く経済回復しつつあります。コロナの危機を経て、無人コンビニやライブコマース、キャッシュレス決済はますます広がっています。日本でも同じことが起こる可能性はあります。その動きを注視することは今後のビジネスチャンスになりうると考えます。

 


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