こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。

2020年は念願のオリピックイヤーでしたが、コロナウィルスの影響により、3月24日には東京オリンピックの延期が正式に決まりました。

また、4月7日に日本政府が緊急実態宣言を出したことで、日本観光業界のみならず世界経済への打撃は一層深刻です。一方で、中国は4月8日、武漢の封鎖解除により「ポスト・コロナ」経済復興の第一歩の兆しを見せました。

厳しい状況が続く今だからこそ、日中観光業界・インバウンドアウトバウンドの真意が問われており「ピンチ」を「チャンス」に変える分岐点でもあります。特殊な時期を乗り越える対策の参考に日中の間でビジネスを行なっている経営者のインタビュー記事をこれから定期的に発信していきたいと存じます。

第一回としてはTrip.comグループ日本代表の蘇俊達氏に、中国の新型コロナウイルス対策やコロナ収束後への予想などについてお伺いしました。

 

【ゲストプロフィール紹介】

Trip.comグループ日本代表蘇俊達氏

蘇俊達氏は2017年1月にCtrip International Travel Japanを設立。同代表取締役に就任後、同年10月より日本のグループ代表に就任。現在Trip.comグループ日本の拠点は8ヶ所あり、新たな海外ブランド「Trip.com」も急速に拡大中。

 

CJTC編集室(以下、CJTC):Trip.comグループは、観光事業者に向けどのような支援策を提供していますか。

蘇俊達氏(以下、蘇):Trip.comグループは、お客様の安全を最優先に、新型コロナウイルス感染の発生直後から「特別無料キャンセル補償」という特別なキャンセルポリシーをご案内しています。また、世界各国の入国規制等、旅行の計画に役立つ情報も提供しています。
さらに、日本を含む世界10か国に100万枚のマスクの寄贈も行っています。事態が収束すれば、訪日中国人は一気に増えます。その際にはいち早く日本各地の魅力を打ち出すキャンペーンを展開していきます。

 

 

 

          ▲Trip.com、新型コロナウイルスから身を守るための海外旅行ガイドをローンチ

 

CJTC:日本でも活かせる中国の新型コロナウイルス対策やノウハウはありますか。

蘇:中国のホテルでの対応事例があります。中国のとあるホテルチェーンでは体温検査機導入のほか、ホテル館内の定期的な消毒や、客室内にマスクや消毒液を準備してお客さまに提供しています。食事にも細心の注意を払い、生ものの提供は控え、特に肉類はしっかり火を通し、皿類は二重消毒して使うなどの対策を行なっています。さらに、体調に異常のある方には、すぐに医療施設や関連施設に連絡するなどの連携をとっています。
また、中国の4ツ星、5ツ星のホテルでは、ロボットの導入が進んでいます。ルームサービスなどスタッフの代わりにロボットが部屋まで運ぶので、人と人の接触がなく、安心感があります。Ctripと提携する会社ではこうしたロボットをレンタルするサービスも行なっています。

 

CJTC:ポストコロナの時代において、中国の訪日旅行者に求められることや期待していることは何かありますか。

蘇:現在、新型コロナウイルス感染症の収束のめどが見えないところもありますが、日本の状況が収束すれば、訪日する中国人は一気に増えると思います。収束後にはいち早く日本各地の魅力を打ち出すキャンペーンを展開したいと考えています。
弊社は2003年にSARSの感染が拡大したときにも適切に対応し、収束に備えました。収束後はいち早く行動に移すことで、爆発的に業績を伸ばし、その年の12月にはNASDAQへの上場を果たしました。その経験から、今回の困難を乗り越えれば、いっそう大きな成長が期待できると信じています。収束すれば、必ず来日を希望するお客さまは急増するので、いまの時期を活用して、しっかり準備しておくことが必要だと考えています。