こんにちは。日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)編集部です。
2017年に米国で実施されたある研究では、ニューヨーク市で流通する紙幣に100種類以上の細菌が付着していることが判明しました。ポストコロナの時代に、現金に基づいた社会は持続可能なのだろうか。今回の危機で、日本社会の支払い方法に大きな変化が起こるかもしれません。
日中ビジネスに関わる最前線専門家インタビュー特集の第二回として、株式会社ネットスターズ代表取締役社長 李剛氏にコロナの感染拡大により、日本のキャッシュレス決済の現状及び今こそ準備しておくべきことについてインタビューしました。
【ゲストプロフィール紹介】
株式会社ネットスターズ代表取締役社長李剛氏
李剛氏は2009年にネットスターズを設立(現在資本金25億円)。国際通信ゲートウェイ事業から、決済サービスへと事業を拡大し、2015年に「StarPay」開発・提供開始。ボーダーレスにキャッシュレス化を推進するプラットフォームとして国内外から注目を集めている。
CJTC編集室(以下、CJTC):新型コロナウィルスの影響を受けて、貴社の事業はいまどんな影響や変化を受けていますか。また、それに応じて、どのように対策を取っていますか。
李剛氏(以下、李):コロナウィルス流行以前から、特にQRコード決済は各ブランドが積極的にキャンペーンを行っていることもあって、中国に比べ急速に普及しつつありました。コロナウィルス流行後は、日本で現金のやり取りに対する懸念が高まり、日本国内のキャッシュレス決済にとって、皮肉にもコロナウィルスはある意味普及の追い風になっている部分もあります。現状を受けての対策としては、当社は社員のウィルス感染でサービス運営に支障がでないようにすることを一番に考えて、出張制限や在宅勤務などを取り入れました。また、今後需要の変化はあるかもしれませんが、国内·インバウンド両方の決済の普及に変わらず取り組んでいます。
▲株式会社ネットスターズが提供するマルチ決済ゲートウェイ「StarPay」
CJTC:コロナ収束を見据えて、日中の間でビジネスを行う企業が今準備しておくべきこと、あるいは日本でも活かせる中国のコロナ対策やノウハウなどございませんか。
李:コロナ収束後も、経済環境への大きな影響は避けられないと考えています。そして、人々の行動も変化するでしょう。当社が日本で初めて2015年にWeChatPayを導入したとき、日本でQRコード決済を知っている人はほぼゼロでした。しかし、そこから急速に普及し、いまでは多くの人がスマフォを通じて買い物をするようになりました。日中間のビジネスは常にギャップを埋めていくことが必要です。収束後は新たなギャップが発生すると思いますが、ギャップを発見しビジネスに活かすことが必要になっていくのではと思います。
中国では、日本より一歩早く経済回復しつつあります。コロナの危機を経て、無人コンビニやライブコマース、キャッシュレス決済はますます広がっています。日本でも同じことが起こる可能性はあります。その動きを注視することは今後のビジネスチャンスになりうると考えます。